
こんにちは!
京都大学に在籍しつつ、パーソナルトレーナーとしても活動しているぐんそーです!
本日の記事では、ずばり『筋肥大が起こる仕組み』について解説していきます!
- 筋肉を大きくしたい!
- かっこいい身体になりたい!
と思ってトレーニングに励んでいる方は多いでしょう。
が、僕の経験上、それと同じくらい
- 実際どういう仕組みで筋肥大が起こっているのかよくわからない
- 正しいアプローチで筋トレできているのか不安
といった方もいらっしゃいます。
そもそもの原理を知っているのと知らないのでは、筋肥大を目指す上での効率も、トレーニングに対するモチベーションも全然違ってきます。
ということで今回はそういった方に向けて、筋トレによって筋肥大が起こる仕組みを解説してきたいと思います!

筋肥大のしくみ
まずは、筋肉が大きく成長していく大まかな流れをつかみましょう。
筋トレで筋肉を動かす ↓ 筋肉に多種多様なストレスがかかる ↓ 各種ホルモンの分泌 筋サテライト細胞の増殖 ↓ 筋肥大
こんな感じです。
筋トレを行うと、当然のことながら筋肉にはさまざまなストレスがかかります。
普段の生活では持ち上げないような重たいものを持ち上げたり、めったに行わないような動作を行ったりするので、筋肉がびっくりするわけですね。
筋肉が普段は感じないような強烈な刺激を受けると、賢い人間の身体は
「筋肉をもっと強く・大きくして、より強烈な刺激に耐えられるような肉体に進化しよう!」
と考えます。
そこで、
- 成長ホルモン
- テストステロン
といった筋肥大に関与するホルモンを分泌したり、
- 筋サテライト細胞
という、筋繊維の元となる細胞を増殖させたりすることによって筋肥大を起こし、より強く大きい筋肉をつくろうとするわけです。
つまり、筋トレによってもたらされるストレスがスイッチとなって筋肥大がおこるわけですね。

ストレスの種類
筋トレを行うと筋肉にさまざまなストレスがかかる、ということを紹介しました。
では、そのさまざまなストレスとはいったいどんなものなのでしょうか?
筋トレによるストレスを大きく分類すると
- 物理的ストレス
- 化学的ストレス
の2つに分けられます。
これらのストレスをさらに具体的に見ていくと、
物理的ストレスは「大きな力(筋張力)を発揮することによる刺激」と「筋繊維の微細な損傷による刺激」に、
化学的ストレスは「無酸素性代謝物が蓄積することによる刺激」と「筋肉が低酸素状態に陥ることによる刺激」に分けられます。
まとめると、以下のような感じですね。
筋肉にかかるストレスの種類 物理的ストレス →・強い筋張力の発揮 ・筋繊維の微細な損傷 化学的ストレス →・無酸素性代謝物の蓄積 ・低酸素状態
では、それぞれのストレスがどんな風に筋肥大に貢献しているのか、具体的に一つずつ見ていきましょう!
物理的ストレス
強い筋張力の発揮
筋トレによって筋肉が強い力を発揮すると、それ自体が各種ホルモンの分泌や筋サテライト細胞の増殖を促すスイッチになります。
例えば、スクワットを例にとって考えてみましょう。
スクワットのメインターゲットになる筋肉は、下半身、特に大腿四頭筋(太ももの前面にある筋肉)です。
そのため、正しくスクワットを行うためには、大腿四頭筋が普段は発揮する必要のないような大きな力(筋張力)を発揮する必要があるわけです。
この
そもそも筋トレの動作を正しく行うために必要な大きな力を発揮すること
自体が筋肉への刺激になり、筋肉が成長するためのスイッチを押してくれるんです。
ちなみに、筋肉には大きく分けて
- 速筋繊維(瞬発的に大きな力を発揮することに特化した筋肉)
- 遅筋繊維(持続的に小さな力を出し続けることに特化した筋肉)
の2種類があります。
このうち、肥大しやすく、ボディメイクするうえで重要になってくるのは「速筋」です。
が、実は普段の生活で使われやすいのは遅筋繊維。
歩いたり階段を上ったりするだけでは筋肉が瞬発的に大きな力を発揮する必要がないことからも、遅筋繊維が動員されやすいことはイメージできると思います。
だからこそ、トレーニングによって普段の生活では経験しないような強い力を発揮させれば、それ自体が普段使われにくい速筋繊維へのいい刺激になり、筋肉が成長してくれるわけです。
筋線維の微細な損傷
筋トレとは、つまるところ
筋肉を伸ばす・収縮させる
という動作を繰り返すことにほかなりません。
この動作を繰り返していると、筋肉内では、筋肉を構成する筋線維に微細な損傷が起こってきます。
輪ゴムを何回も引っ張っていると次第にゴムの強度が下がって少しずつちぎれていくようなイメージですね。
ただ、輪ゴムと筋肉の違うところは、
筋肉は傷ついた後に修復され、より強くなる
ということです。
トレーニングによって筋繊維が傷つくと、人間の身体はその傷を治すために働き出します。
筋肉が傷ついたことが感知されると、まずは筋サテライト細胞(筋肉の元となる細胞)が増殖し、その後筋サテライト細胞が筋繊維となり、一つ一つの筋繊維がより強く大きく成長していきます。
要するに
一旦傷ついた筋肉が修理されることで、筋肥大が起こる
ということですね。

化学的ストレス
無酸素性代謝物の蓄積
物理的ストレスの紹介のところで、
筋トレは 、筋肉を伸ばす・収縮させる、 の繰り返しである
と言いました。
このくり返し動作によって得らえれるのは、実は物理的ストレスだけではありません。
トレーニングにより筋肉が収縮とストレッチを繰り返すと、筋肉中に
- 乳酸
- 一酸化窒素
- 水素イオン
などといった無酸素性代謝物が蓄積していきます。
これらの代謝物が蓄積していくと、筋肉内の化学的な代謝環境が普段とは全く違った状態になってしまいます。
この代謝環境の違いが筋肉へのストレスとなり、
- 成長ホルモン
- テストステロン
などの筋肥大を誘発するホルモンの分泌を活性化させることにより、筋肥大が引き起こされます。
筋トレをしているとよく耳にする「パンプアップ」がまさにこの状態ですね。
何度も同じ動作を繰り返して筋肉がパンパンに張ったような状態(パンプアップ)になれば、筋肉内ではいろんな代謝物が蓄積して化学的ストレスがかかった状態になり、筋肥大が起こりやすくなっているわけです。
筋トレと関係の深いホルモンについては、以下の記事で詳しく解説しています!
筋肉の低酸素状態
トレーニングにより筋肉に力を入れると、血管が圧迫され、血流が滞ります。
すると、酸素を運んでくる血液の量が少なくなるわけなので、当然のことながら筋肉は低酸素状態に陥ります。
では酸素の量が筋肥大にどう関係してくるのかというと、ここでも
速筋・遅筋
の特性の違いが活きてきます。
実は、速筋繊維と遅筋繊維では、力を発揮するときの特性だけでなく、動かすときのエネルギー源も違っています。
具体的には、以下のような感じ。
筋肉の種類 | エネルギー源 |
速筋 | グルコース(糖分) |
遅筋 | 酸素 |
鋭い人はもうお気づきかもしれませんね。
血液中の酸素の量が少なくなると、筋肥大をしにくい遅筋のエネルギー源が少なくなります。
すると、相対的に速筋が使われやすくなりますね。
筋肉が低酸素状態に陥って肥大しやすい速筋が優先的に使われるようになると、より筋肉が大きく成長してくれるわけです。
ちなみに、よく耳にする「加圧トレーニング」では、血流を制限して低酸素状態を作ることで筋肉が発達しやすい環境を作り出しているわけです。
加圧トレーニングについて詳しくはこちら!

まとめ
筋肉はいったいどんな仕組みで成長し、大きくなっていくのかについて解説してきました!
ただ何となくトレーニングを行うよりも、しくみや原理を知ったうえでトレーニングに向き合う方が、圧倒的に成果が出やすくなります。
ぜひ今回紹介した筋肉の成長の仕組みを頭の片隅に置きつつ筋トレに励んでみてください!
