一口に筋トレと言ってもその種類や方法は様々で、少しの変化を付けることでよりうまく追い込めたり、トレーニングに質が向上したりすることがあります。
なかでも有名な筋トレテクニックのひとつが、ジャイアントセットと呼ばれるもの。
ということでこの記事では
ジャイアントセット
というトレーニング方法について紹介していきます。
元ボディビルダーで、現在は日本人プロビルダーの山岸秀匡選手のコーチも務めているミロス・シャシブさんが提唱していることでも有名なジャイアントセット。
名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
そんなジャイアントセットとは一体どんなものなのか、効果や方法について確認していきましょう!

ジャイアントセットとは
ジャイアントセットとはずばり
同じ筋肉をターゲットにしたトレーニングを、4種目以上インターバルなしで行う
というものです。
4種目を立て続けに行ってようやく1セット終了
という感じなので、1セットというよりは1ラウンドといった方がしっくりくるかもしれませんね。
このジャイアントセットは、比較的軽い重量で大きなパンプ感が得られ、筋肥大に効果的なアプローチだと考えられています。

メカニズム
ジャイアントセットは4つの異なる種目を組合せ、インターバル無して行っていく方法です。
では、
同一種目をインターバルなしで行う
という方法とジャイアントセットは一体なにが違うのでしょうか?
そこには
モーターユニット
という考え方が関係してきます。
モーターユニットとは、
ひとつの神経と、その神経が支配する筋繊維群
のこと。
筋肉を動かす際の単位のようなものです。
同一種目をインターバルなしで行うトレーニングでは、常に同じモーターユニットが動員され続けることになります。
そのため、ターゲットにしている部位の収縮時間が長くなり、狙った部位をパンプアップさせやすくなります。
一方この方法には、
特定のモーターユニットのみに疲労が蓄積し、高重量を扱うことが難しくなる
という弱点もあります。
筋肥大には
- 高重量を扱ったり筋繊維を破壊したりすることによる物理的ストレス
- パンプアップなどによる化学的ストレス
の両方が大切なのですが、同一種目をインターバルなしで行う方法では、物理的ストレスがおろそかになってしまうわけですね。
一方ジャイアントセットでは、異なる4種目以上をインターバルなしで行います。
種目が違うと動作が異なってくるので、たとえ同じ部位をターゲットにした種目でも、各種目によって動員されるモーターユニットは微妙に変わってきます。
そのためジャイアントセットには
特定のユニットのみの疲労を回避でき、インターバルなしでも比較的高重量をあつかいやすい
という特徴が生まれます。
つまり、
化学的ストレスを追い求めつつも、物理的ストレスもおろそかにしない
というのが、ジャイアントセットが筋肥大に効果的と考えられているメカニズムなわけです。

メリット
ジャイアントセットのメリットとしては
- トレーニング時間の短縮
- 強烈なパンプ感
- ケガのリスクの回避
- 新鮮な刺激を得られる
などがあります。
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
トレーニング時間の短縮
ジャイアントセットでは4種目以上のインターバルなしで行うため、そもその1回のトレーニングでとるインターバルの回数が減ります。
また、特定の部位を徹底的に狙っていくため、短時間でも充分い追い込むことができます。
トレーニング時間の短縮につながり、忙しい方でも納得いくまで追い込める
というのはジャイアントセットの大きなメリットですね。
強烈なパンプ感
複数の種目をインターバルなしで行うジャイアントセットでは、必然的に筋肉が収縮している時間が長くなります。
そのため血管が押しつぶされて血流が制限される時間も長くなり、筋肉内に乳酸などの無酸素性代謝物が蓄積しやすくなります。
つまり、一言でいうと、
パンプアップしやすい
ということです。
パンプアップによる化学的ストレスは筋肥大のひとつの要因です。
そしてなにより、パンプアップするとめちゃめちゃ気持ちよく、達成感や充実感も得られます。
強烈なパンプ感を得やすいこともジャイアントセットの魅力です。
ケガのリスクの回避
ジャイアントセットは、インターバルを挟まないにしては比較的高重量を扱いやすい方法ではありますが、4種目以上を連続で行うわけですから、通常のトレーニングよりは使用重量はかなり下がります。
そのため、腱や関節にかかる負担を軽減し、ケガのリスクを下げることができます。
また、比較的軽い重量を使うため、ウエイトのコントロールもしやすく、フォームが崩れる危険も低くなります。
新鮮な刺激を得られる
一般的な
- 高重量低レップ
- 低重量高レップ
などのトレーニングでは、物理的刺激のみ、または化学的刺激のみに着目したものが多いです。
そのため、化学的ストレスを追求しつつ一定の物理的ストレスも得られるジャイアントセットでは、普段は感じにくい新鮮な刺激を得やすくなります。
普通とは異なるアプローチで刺激をかけられるため、トレーニングのマンネリ化対策としても活躍してくれしそうです。

デメリット
ジャイアントセットのデメリットについてもチェックしていきましょう。
- 迷惑になる可能性がある
- 重量設定が難しい
- あくまでも化学的ストレスがメイン
という感じ。
こちらもひとつづつ見ていきます。
迷惑になる可能性がある
ジャイアントセットでは
4種目以上をインターバルなしで行う
ということがミソになってきます。
1種目を終えてから次の種目の準備をしていては、その間にターゲットの筋肉が回復してしまうため、わざわざジャイアントセットを実践する意味が薄くなってしまいます。
効果的にジャイアントセットを組むためにはあらかじめすべての種目の器具やマシンを確保しておく必要があるため、混雑時や狭いジムなどでは迷惑になってしまうことがあります。
重量設定が難しい
普段のトレーニングでは、複数の種目をインターバルなしで行うことはほとんどないと思います。
そのため、
適切な重量のイメージがつかみにくい
というのももジャイアントセットのデメリットとなってきます。
重量が軽すぎると追い込み切れずに不完全燃焼感が残り、逆に重すぎると最後までできなくなってしまいます。
慣れるまでは追い込むことをいったん置いておいて
いろんな重量で試してみて、ますは重量のイメージをつかむ
という風にするといいかもしれません。
あくまでも化学的ストレスがメイン
ジャイアントセットは、同一種目をインターバルなしで行うことと比べると物理的ストレスも得やすくなります。
しかし、通常のトレーニングと比較すると使用重量は確実に下がり、物理的な刺激は与えにくくなってしまうのは確実です。
ジャイアントセットでメインになってくるのはあくまでも化学的ストレスで、物理的ストレスはおまけ程度
ということですね。
筋肥大には物理的ストレスも非常に重要なファクターなので、この点もジャイアントセットのデメリットと言えるでしょう。
![筋トレ強烈パンプ!ジャイアントセットの組み方とは|YAZIUP[ヤジアップ]](https://yaziup.com/wp/wp-content/uploads/2018/09/e95869de081612c8ae7254ae18cad028-e1537851592811.jpg)
ジャイアントセットのポイント
では、ジャイアントセットを実践するうえで注意したいポイントについて解説していきます。
4種目以上をインターバルなしで行う
と言っても、やみくもに種目や順番をを選んでいては最大限に効果を引き出すことはできません。
ということで、効果的にジャイアントセットを活用していくためにポイントとなってくることを解説していきます!
基本的なメニューの組み方
基本的には
高重量→低重量
コンパウンド種目→アイソレーション種目
というふうにセットを組み、
前半の種目で物理的刺激を狙い、後半の種目でパンプアップを引き起こす
というイメージで実践するのがおすすめです。
さらに
- 補助筋がかぶっていないか
- トレーニングの系統がかぶっていないか
- もっと細かく部位分けできないか
などにも意識を向けるとより効果的です。
補助筋がかぶっていないか
例えば、胸のジャイアントセットでプレス系の種目のみを行っている場合を考えましょう。
この場合、胸より先に補助として使われる上腕三頭筋が疲労してしまい、胸を追い込み切ることが難しくなってしまいます。
フライ系などの三頭筋を使いにくい種目を混ぜるなどして使用される補助筋をうまくずらし、対策をすると効果的です。
トレーニングの系統がかぶっていないか
- 胸ならプレス系とフライ系
- 背中ならプル系とロウ系
- 肩ならプレス系とレイズ系
など、トレーニングの種類は動作によって多種多様に分けられます。
さらに、負荷のかかるポイントで分けると
ミッドレンジ系・ストレッチ系・コンパウンド系
などの分類方法もあります(POF法)。
ひとつの動作や系統の種目のみを行うのではなく、いろんな種類のトレーニングを取り入れて、いろんな角度から刺激を与えるとより効果的です。
POF法について詳しくはこちら!
もっと細かく部位分けできないか
ジャイアントセットでは
胸 | 大胸筋上部・中部・下部 |
背中 | 広背筋上部・下部・脊柱起立筋・僧帽筋 |
肩 | 三角筋前部・中部・後部 |
腕 | 上腕三頭の筋外側頭・長頭・短頭 上腕二頭筋の長頭・短頭 |
脚 | 大腿四頭筋の大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋 ハムストリングの半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋 |
などターゲットにしている部位の中でもさらに細かく部位分けを行い、種目ごとに微妙に狙う部位を変えていくとより効果的です。

ジャイアントセットの具体例
では、部位別にジャイアントセットの具体例を見ていきましょう。
胸
ベンチプレス
↓
インクラインベンチプレス
↓
ダンベルプレス
↓
ダンベルフライorペックフライ
で1ラウンド。
背中
デッドリフト
↓
懸垂orラットプルダウン
↓
ベントオーバーロウorダンベルロウ
↓
ショルダーシュラッグ
で1ラウンド。
肩
バーベル(ダンベル)ショルダープレス
↓
サイドレイズ
↓
フロントレイズ
↓
リアレイズ
で1ラウンド。
腕
バーベルカール
↓
ナローベンチプレス
↓
インクラインダンベルカール
↓
ケーブルプレスダウン
で1ラウンド。
脚
スクワット
↓
レッグプレス
↓
レッグカール
↓
レッグエクステンション
で1ラウンド。

まとめ
筋肥大に効果的なジャイアントセットについて紹介してきました。
ジャイアントセットには物理的刺激が弱くなってしまうという弱点はあるものの、ケガのリスクを避けつつ強いパンプを得ることができ、うまく取り入れればかなり有効なトレーニングと言えるでしょう。
また、ジャイアントセットだけでなく
他のトレーニング方法やテクニックと組み合わせつつ、ジャイアントセットのメリットをうまく活かしていく
ということができれば、さらなるトレーニングの効率アップも期待できます。
筋肥大に有効なジャイアントセット、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?
以上、『【筋トレ】ジャイアントセットとは?【メリットや具体的な方法を解説】』でした!
