筋トレで筋肉を成長させるには、長期的に続けることが大切。
とはいえ、やみくもにトレーニングしていては、高い効果を得られるとは言えません。
特に長い間同じようなトレーニングを続けていると、筋肉が刺激に対して慣れてしまい、いわゆる停滞期に陥ってしまうことも。
そこで注目したいのが重量・レップ数・セット数をどのように組み合わせるか。
ということで今回の記事では、長期的に筋肉を成長させるために大切なトレーニングメニューの作成方法である
ピリオダイゼーション
という考え方について紹介していきます!

ピリオダイゼーションとは
ピリオド(期間)という名前からも分かるように、ピリオダイゼーションとは
一定の期間でトレーニングのメニューに変化をつけることにより、筋肥大や筋力向上の効率を高く維持する
という考え方です。
1950年台から用いられだしたピリオダイゼーション。
もともとは瞬発力や筋力が必要なパワーリフティングのパフォーマンス向上を目的として生まれました。
いわば筋力向上と大会や試合でのパフォーマンスアップが目的のテクニックだったわけです。
ところが、実はピリオダイゼーションは筋力向上のみならず、筋肥大にも効果的であると考えられるようになってきました。
筋力の停滞は筋肥大の停滞にもつながってしまいます。
そのため、ピリオダイゼーションによる筋力の向上はそのまま筋肥大にもつながるんです。

期間の分け方
ピリオダイゼーションという名前の通り、トレーニングの期間の分け方はとても重要になってきます。
具体的な期間の分け方は以下の3種類。
マクロサイクル | 半年~1年を1サイクルとする、長い期間分け 大幅な筋力向上やバルクアップ、試合や大会への準備など、 スケールの大きな目的を達成するためのサイクル。 |
メゾサイクル | 4~8週間で1つのサイクルとする期間分け トレーニングにおいては筋肥大期・筋力向上期・筋持久力向上期、 スポーツにおいては大会前の準備期・試合期・休養期などに用いられる。 |
ミクロサイクル | 1~4週間で一つのサイクルとする、短い期間分け トレーニングにおいては、短期的にメニューを変化させる際に用いられる |
ミクロサイクルがいくつか集まってメゾサイクルをつくり、さらにメゾサイクルがいくつか集まってマクロサイクルを形成する
といったイメージです。

ピリオダイゼーションの種類
ピリオダイゼーションには、大きく分けて
- 線形ピリオダイゼーション
- 非線形ピリオダイゼーション
の2種類があります。
それぞれの特徴やメリットについて見ていきましょう。
線形ピリオダイゼーション
特徴
線形ピリオダイゼーションでは、3つのメゾサイクルを使い、
筋肥大期 | 低重量・高レップ・高ボリューム | 8-12レップ3セット |
中間期 | 中重量・中レップ・中ボリューム | 5-6レップ5-6セット |
筋力期 | 高重量・低レップ・低ボリューム | 3-4レップ6-7セット |
でひとまとまりのトレーニング期間とする方法です。
低重量・高レップを扱う筋肥大期から始め、次第に高重量・低レップの筋力期へと移行していきます。
重量とレップ数をグラフにすると直線になるから、「線形」という名前がついているわけです。
筋力の停滞を防ぎつつプログレッシブオーバーロードを達成しやすいため、筋力向上・筋肥大の両方に効果的なアプローチです。
例:ベンチプレスのMAXが100kgの人の場合
1~4週目(筋肥大期) | 75kg8レップ3セット |
5~8週目(中間期) | 80kg5レップ5セット |
9~12週目(筋力期) | 87.5kg3レップ7セット |
メリット
線形ピリオダイゼーションのメリットとしては
- 筋力のピークを調整しやすい
- メニューに悩まない
ということが挙げられます。
筋力のピークを調整しやすい
線形ピリオダイゼーションでは、筋肥大期にバルクアップを目指し、徐々に使用重量を上げていくことで、筋力期に最高の筋力を発揮することができます。
基本的には筋力期に筋力のピークを持ってこられるため、
- 大会で最高の結果を残したいパワーリフター
- 試合でパフォーマンスを高めたいスポーツ選手
などが調整に使うにはぴったりの方法と言えます。
メニューに悩まない
線形ピリオダイゼーションでは、1つのメゾサイクル間はほとんど同じ内容のトレーニングを繰り返します。
基本的に最初にメニューを決めれば、その後は重量・レップ数・セット数ともにほとんど変化させる必要がないため、トレーニング内容で悩むことはなくなります。

非線形ピリオダイゼーション
特徴
こちらは名前の通り、「線形でない」ピリオダイゼーションです。
日や週ごとにトレーニング内容に変化を付け、負荷や強度を変えていく方法になります。
具体的には
1週目 | 5RMで5レップ5セット |
2週目 | 3RMで3レップ7セット |
3週目 | 8RMで8レップ4セット |
4週目 | 4RMで4レップ6セット |
5週目 | 10RMで10レップ3セット |
といった感じ。
短期間で重量・レップ数・セット数に変化を付けることで刺激の種類を多様にし、刺激に対する筋肉の慣れを回避できるのがこの方法です。
例:ベンチプレスのMAXが100kgの人の場合
1週目 | 80kgで5レップ5セット |
2週目 | 87.5kgで3レップ7セット |
3週目 | 75kgで8レップ4セット |
4週目 | 82.5kgで4レップ6セット |
5週目 | 70kgで10レップ3セット |
メリット
非線形ピリオダイゼーションのメリットには
- 新鮮な刺激が与えられる
- トレーニングの自由度が高い
ということがあります。
新鮮な刺激を与えられる
1週間などの短い期間、あるいは日単位でトレーニングの内容に変化を付けていくのが非線形ピリオダイゼーションのポイント。
そのため筋肉が刺激に慣れにくくなり、筋肥大にも効果を発揮します。
トレーニングの自由度が高い
非線形ピリオダイゼーションではメニューを固定しません。
その日の体調や気分によって自分にあった内容のトレーニングをカスタマイズできる
というのも大きなメリットです。

重量・レップ数・セット数の設定方法は?
線形ピリオダイゼーションでは
重量を少しずつ上げていき、レップ数は下げていく
というのが基本になってきます。
一方の非線形ピリオダイゼーションでは重量の設定方法はバラバラですが、それぞれに応じてギリギリ達成できるかできないかくらいのレップ数を目指すのが筋肥大には効果的です。
ここで両者に共通して注目したいのが、
重量やレップ数を変えてもトレーニングの総ボリュームはなるべく一定に保つ
ということ。
ボリュームとは、
使用重量×レップ数×セット数
で表される数値のことです。
ボリュームが減りすぎてしまうと筋肉の成長を引き起こすことができなくなり、反対に急に増やしすぎてしまうとオーバーワークに陥ってしまう可能性も出てきます。
高重量を扱うとレップ数を稼ぎにくくなるの、その分セット数を増やしてトレーニングボリュームを維持しましょう。
低重量高レップの時は、一回一回の負荷が弱いのでボリュームは増えがちですが、セット数を少なめに設定してボリュームをなるべく一定に保ちましょう。
例えば、ベンチプレスのMAXが100kgの人の場合、
70kg10レップ3セットの場合のボリュームは70×10×3=2100
80kg5レップ5セットの場合のボリューム80×5×5=2000
といった感じです。

ピリオダイゼーションはどんな人向け?
ピリオダイゼーションはトレーニングの基本的な考え方で、応用力も抜群。
基本的に、トレーニングを始めて間もない初心者の方から長年鍛え続けている上級者の方まで、すべてのトレーニーにおすすめできます。
その中でも特におすすめなのは
線形ピリオダイゼーション | パワーリフターやスポーツ選手 体重を大きく変えずにピークを調整したい人 短期的な筋力向上・筋肥大が達成しにくいトレーニング上級者 |
非線形ピリオダイゼーション | トレーニング初心者~中級者 大幅にバルクアップしたい人 |
という感じです。

まとめ
筋肥大・筋力向上に効果的なピリオダイゼーションという考え方について紹介してきました。
「筋肉の慣れを回避する」というトレーニングの基本を押さえつつ、応用の幅も広いピリオダイゼーション。
うまく活用して、停滞期と縁のないトレーにイングを送りましょう!
