筋トレを続けていると、トレーニングにおける呼吸の重要性に気づいてくると思います。
実は、呼吸のやり方ひとつでトレーニングの質が大幅に変わることもあり、呼吸はトレーニングにおいてかなり大切な要素のひとつ。
そんな呼吸法のなかでも、今回の記事では
バルサルバ法
という方法について紹介していきます!
バルサルバ法は、高重量にチャレンジしたいときや最大筋力を発揮したいときにおすすめの呼吸テクニック。
どちらかというと上級者向けのテクニックですが、初心者の方も知っておいてドンすることはないと思います。
ということで、バルサルバ法のやり方やメリットについて見ていきましょう!

バルサルバ法とは?
バルサルバ法とは、イタリアの解剖学者、アントニオ・マリア・バルサルバが見つけた「バルサルバ効果」を活用した呼吸法。
バルサルバ効果とは、
呼吸を止めていきむ(これを怒責と言ったりします)
↓
息を止めたことによって呼吸に関わる筋肉が緊張する
↓
脊柱や体幹が安定する
↓
筋出力・血圧・心拍数の向上
という流れで起こる生理反応のこと。
要は
あえて息を止めることで普段よりも強い力が発揮できる
ということですね。
このバルサルバ法をを筋トレに活用すると、普段よりも強い力が出せるため、より高重量を扱えるようになるわけです。
より高重量を追求するパワーリフターなどの間でもバルサルバ法はよく使われています。
ちなみに、いわゆる「火事場の馬鹿力」も、根本の原因はバルサルバ効果だと言われています。

バルサルバ法で高重量を扱えるのはなぜ?
バルサルバ法で高重量を扱えるようになるメカニズムは、以下のような感じ。
トレーニング中、意図的に息を止める
↓
横隔膜が収縮する
↓
腹筋や直腸筋などの呼吸筋が収縮する
↓
腹圧が上がり、脊柱や体幹が安定する
↓
よりバランスが保ちやすくなり、筋出力が向上する
筋力がアップする流れとしてはシンプルですね。

バルサルバ法のやり方
高重量を扱えるメカニズムもシンプルでしたが、バルサルバ法の実践方法もそんなに難しくありません。
バルサルバ法のやり方を一言でいうと、
スティッキングポイントの前後で息を止める
これだけです。
スティッキングポイントとは、トレーニングの動作で最も大きな負荷がかかり、いちばんきついと感じるポイント。
例を挙げると、
- スクワットしゃがみこんだ位置(ボトムポジション)から立ち上がる瞬間
- ベンチプレスバーを胸の前に下ろしてから持ち上げる瞬間
といった感じ。
スティッキングポイントはそのトレーニングにおける一番きついポイントです。
なので、トレーニングで高重量を扱えるかどうかは、スティッキングポイントを乗り越えられるかどうかにかかっているわけです。
このスティッキングポイントを乗り越えるために、スティッキングポイント前後でバルサルバ法を使って息を止め、筋出力をアップさせるわけですね。

バルサルバ法と相性のいい種目・悪い種目
では、バルサルバ法の恩恵を受けやすい種目、反対にバルサルバ法と相性が良くない種目はどんなものなのか解説していきます。
バルサルバ法で筋出力が向上する流れを大雑把におさらいしておくと
息を止める
↓
腹圧が上がる
↓
脊柱・体幹が安定する
↓
筋出力アップ
でした。
つまり、
脊柱や体幹が安定することによって筋出力が上がり、高重量を扱えるようになる
というのがバルサルバ法のポイント。
これを踏まえるとバルサルバ法は
- 高重量を扱うことが多い
- 脊柱や体幹への負担が大きい
という特徴のある種目と相性がいいと言えそうです。
具体的には、フリーウエイトのコンパウンド種目、中でも
スクワット・ベンチプレス・デッドリフト
のBIG3との相性は抜群です。
その反面、
- 高重量を扱いにくいアイソレーション種目
- 脊柱への負担が小さいマシン種目
では、バルサルバ法を使うメリットはあまりなさそうです。
ちなみに
コンパウンド種目→複数の関節が動きに関与する種目
アイソレーション種目→一つの関節しか動きに関与しない種目
です。

バルサルバ法を使ったトレーニングの具体例
フリーウエイトのコンパウンド種目、特にスクワット・ベンチプレス・デッドリフトのBIG3とバルサルバ法の相性は最高です。
ということで、この3種目でバルサルバ法を使う具体的なやり方を紹介しておきます。
スクワット
- 深呼吸し、十分な空気をとりこむ
- しっかり口を閉じて空気を逃がさなず、おなか、背中、あごを引き締める
- しゃがむ動作を始める
- 立ち上がる動作を始める
- いちばんきついポイントを過ぎたら息を吐き始める
- 立ち上がりきるまで息を吐き続ける
- 1~6を繰り返す

ベンチプレス
- 充分に空気を吸い込む
- 口を閉じ、空気の逃げ場をなくし、おなか、背中、あごを引き締める
- バーを降ろす
- バーを挙げる。
- いちばんきついポイントを過ぎたら息を吐き出し始める
- そのまま挙げきるまで息を吐き出し続ける
- 1~6を繰り返す

デッドリフト
- 深呼吸し、十分な空気をとりこむ。床に置いたバーベルを握りこむ。
- しっかり口を閉じて空気を逃がさなず、おなか、背中、あごを引き締める
- バーベルを持ち上げる
- いちばんきついポイントを過ぎたら息を吐き始める
- バーベルを降ろす
- 背中を固めなおし、フォームを作る
- 1~6を繰り返す

注意点
バルサルバ法はうまく使えば重量アップに役立ち、筋トレの質も向上します。
が、やみくもに行うのは避けた方がいいかも。
そんなバルサルバ法を行うときの注意点としては
- 初心者のうちは避ける
- 血圧アップに注意
ということが挙げられます。
初心者のうちは避ける
バルサルバ法は、「より高重量にチャレンジしたい!」という上級者向けのテクニック。
やり方自体はシンプルですが、やってみると意外と難しいので、高重量でのトレーニングに慣れていない初心者の方はあまりバルサルバ法のメリットを引き出せません。
また、初心者のうちは
- フォーム
- 筋肉への意識
などに気を取られて、呼吸法にまで意識が回らないと思います。
まずは
ウエイトを上げつつ息を吐き、ウエイトを下げつつ息を吸う
という基本的な呼吸法をマスターしてからバルサルバ法に挑戦しましょう。
血圧アップに注意
バルサルバ法は、息を止めることによって腹圧を挙げ、脊柱や体幹を安定させるテクニック。
腹圧を上げる過程で筋肉が収縮するので、それに伴って血管が圧迫され、血圧が急上昇・急降下することがあります。
血管や循環器系の臓器への負担も大きくなってしまうので、
- 高血圧の方
- 循環器系の疾患がある方
はバルサルバ法は避けましょう。
下手すると手術になったり、最悪の場合には命に関わる可能性も否定できません。
高重量に挑戦したい気持ちはあっても、まずは安全第一でトレーニングしましょう。

まとめ
バルサルバ法のやり方やメリット、注意点などについて解説してきました。
高重量にチャレンジするときにはその実力を遺憾なく発揮するバルサルバ法。
上級者向けのテクニックではありますが、初心者でも方もトレーニングを続けていく限り、知っていて損することはないと思います。
バルサルバ法をうまく使い、トレーニングの質を一段上げましょう!
以上、『【重量を上げる呼吸法】筋トレに有効なバルサルバ法とは?』でした!
