背中のトレーニングには数多くの種類がありますが、中でも有名なのが懸垂ですね。
自重でも高負荷をかけられるコンパウンド種目(多関節種目)で、懸垂スタンドさえあれば自宅でも強度の高い背中トレができてしまうのが懸垂の特徴。
トレーニング中~上級者の方にはもちろんのこと、
- トレーニングを始めたばかりの初心者の方
- ジムではなく家トレがメインの方
などにもおすすめの最強種目です。
そんな懸垂ですが、実はバーを握る手幅やグリップを変えるだけで大幅に刺激を変化させることができます。
グリップを意識して鍛え分けていけば、懸垂だけでもかっこいい背中を作ることは充分に可能。
ということで今回の記事では
- オーバーハンドグリップ(順手)
- アンダーハンドグリップ(逆手)
- パラレルグリップ
という3つのグリップでの懸垂について、それぞれの特徴や鍛え分け方を解説していきます!

懸垂のグリップの種類は?

懸垂で行うグリップの種類は、大きく分けると
オーバーハンドグリップ(順手) | 手の甲が見えるような握り方 |
アンダーハンドグリップ(逆手) | 手のひらが見えるような握り方 |
パラレルグリップ | 両手の平が向かい合う握り方 |
の3種類。
これに加えて両手の幅を変更させることでも、ターゲットとなる筋肉への負荷や意識、関節や腱への負担の大きさなども変わってきます。
懸垂で鍛えられるメインのターゲットは、広背筋や大円筋、僧帽筋などの背中の筋肉。
これらに加えて
- 三角筋後部・上腕二頭筋などの「引く」筋肉
- 腹筋や体幹回りのスタビライザー的に働く筋肉
なども鍛えられます。
グリップを意識することによって、これらの部位を意のままに鍛えていくことができるんです。
ひとくくりに懸垂といっても、意外と奥深いわけですね。
では、以下ではそれぞれのグリップでの懸垂について特徴を解説していきます!
オーバーハンドグリップ(順手)

数ある懸垂のグリップの中で、おそらく一番有名なのがオーバーハンドグリップ(順手)。
順手での懸垂を特に「プルアップ」と言ったりもします。
大きな特徴としては
身体を引き上げる動作において、肩関節の内転(腕を横から下に下ろす動き)の関与が大きくなる
ということ。
イメージとしては、ラットプルダウンを自重で行うような感じですね。
肩関節の内転には広背筋・大円筋が大きく関わっているため、広背筋や大円筋にバチバチに効きます。
また、肩の内転には僧帽筋も関与するため、背中全体に大きな負荷をかけることが可能。
- 背中の広がり(広背筋・大円筋)
- 背中の厚み(僧帽筋)
双方にとって有効な種目です。
動作の途中、身体を引き上げているときに最も大きな負荷がかかるミッドレンジ種目ですが、負荷範囲は若干収縮ポジション寄り。
身体を下ろしきった位置では負荷が抜けやすい反面、上げきった位置で広背筋が強く収縮して大きな刺激を与えることが可能です。
手幅としては、肩幅の1.5~2倍程度にするのが一般的。
手幅が狭いと上腕二頭筋の関与が大きくなり、広くなるにつれて広背筋・大円筋への刺激が大きくなっていくので
上腕二頭筋も同時に鍛えたい→肩幅の1~1.5倍
背中のみのフォーカスしたい→肩幅の1.5~2倍
くらいを目安にするのがおすすめです。
あまり手幅を広くしすぎると可動域が狭くなって最大収縮できなくなってしまうので注意しましょう。
より広背筋や大円筋などの背中のアウトラインを作る筋肉を意識したい場合は
サムレスグリップ(親指を巻き付けない握り方)で、小指側に力を入れるように意識する
というのが有効です。
ちょっとした意識の差で効き具合はかなり変わってくるので、ぜひやってみてください!
ちなみに、パワーグリップやリストラップを使うと、握力や前腕への負担を減らせてトレーニングに集中しやすくなります。
アンダーハンドグリップ(逆手)
![自宅でもできる懸垂(チンニング)で逆三角形の身体を。方法や注意点を徹底解説。 - TOREMY[トレミー]](https://image.toremy.jp/uploads/image/df48e2c8-1645-4012-9d8a-1dc0c7b82b5a.png)
逆手で行う懸垂は、「チンアップ」とも呼ばれています。
ワイドグリップで握りこむと手首や肘の角度が不自然になり、おかしな角度から負荷がかかってケガにつながることもあるので、肩幅(もしくは少し狭め)くらいの手幅で握りこむのが一般的。
動作の特徴としては
脇が締まるため肩関節の伸展(腕を前から後ろに引く動き)の関与が大きくなる
ということ。
肩の内転の動きが抑えられるため僧帽筋の関与が減り、より純粋に
背中の筋肉で引く
という動作を実現しやすくなります。
また、脇が締まることで身体を後傾させやすくなるので、順手のときよりも可動域が広がり、ストレッチポジションでも負荷が抜けにくくなります。
順手での懸垂がラットプルダウンに似ていた反面、逆手の懸垂はシーテッドロウやケーブルロウなどのローイング系種目に似ているイメージですね。
僧帽筋の関与が減る分、上腕二頭筋への負荷は増えがち。
イメージ的には
上腕二頭筋狙い→身体をまっす保ったまま、肘が垂直に動くように引き上げる
背中(広背筋)狙い→身体を倒して肘をみぞおちめがけて引きつける
という感じです。
パラレルグリップ

パラレルグリップは、その名の通り両手が平行に向き合うように握りこむグリップ。
ワイドに握ると肩や肘への負担が大きくなるので、肩幅(もしくは少し狭め)程度の手幅でセットするのが普通。
オーバーハンド・アンダーハンドの中間的な特徴を持ったグリップですが、どちらかというと肩関節の伸展(腕を前から後ろに引く動き)が優勢です。
特徴的なのはやはり手首の角度で、パラレルグリップは手首にとっては最も自然な握り方。
順手・逆手と比べると手首への負担は小さく、自然な姿勢で動作できるのでパワーも発揮しやすくなります。
順手・逆手で1回も懸垂できない人でもパラレルグリップなら何回かできることもあるので、トレーニング初心者の方などはぜひ一度試してみてください。
肩関節の伸展が優勢なので広背筋をしっかりストレッチさせることができて、大きな負荷を与えることが可能。
僧帽筋の関与が減る分、上腕二頭筋は前腕への負荷は大きくなるで。順手や逆手とうまく使い分けたいところです。
懸垂におすすめのグリップは?

- オーバーハンド
- アンダーハンド
- パラレル
という3つのグリップの特徴を見てきたところで、
懸垂におすすめのグリップはいったいどれなのか?
ということについて紹介していきます!
ずばり結論から言うと
使い分けが最強
というのが僕の考え。
握り方や手幅だけでかなりトレーニングの印象が変わってくるので、
- 自分がどんなトレーニングをしたいのか
- 自分はどんな背中を作りたいのか
によってフォームの意識を変えていくのが最強です。
個人的には
背中の広がりを出したい | オーバーハンドのサムレスグリップでワイドに握る |
筋肉がストレッチした局面で負荷をかけたい 可動域を広くとりたい | アンダーハンドでやや狭めに握る |
レップ数をこなして追い込みたい 高負荷をかけたい | いちばん力を発揮しやすいパラレルグリップ |
という使い分け方がおすすめです。
まとめ
懸垂の3種類のグリップについて、それぞれの特徴やおすすめの使い分け方について紹介してきました!
少しの変化で効きば全く違ってくるのは筋トレの醍醐味のひとつでもありますし、いろいろなグリップを試してみるのも楽しいです。
ぜひグリップを使いこなし、懸垂を極めましょう!
以上、『【懸垂を制するものは背中トレを制する】グリップで考える懸垂の鍛え分けのコツとは??』でした!
