トレーニングを通して筋肉を付けるためには、
増量
↓
減量
というサイクルを繰り返すのが一般的。
増量期にたくさん食べて筋肉を大きくし、減量期で余計についてしまった脂肪を落とし、かっこいい身体を目指していく。
トレーニングしているからと言って、脂肪の燃焼と筋肉の増加を同時に行うことは難しいんです。
プロのボディビルダーの選手たちもこのサイクルを採用していることが多いようですね。
では、筋肉を成長させつつ体脂肪を落とすということが不可能なのかというと、決してそうではありません。
適切な食事管理とトレーニングを積めば、
筋肉を増やし脂肪を減らす
という、ボディメイクにおいては夢のような効果を実感できるかも。
ということで今回の記事では、脂肪を減らしつつ筋肉を増やすためのメソッド、
リコンプ
について紹介していきます!

リコンプとは
リコンプとは、Recomposition(再構成)という英語からきている単語。
その意味としては
身体を構成している要素を変化させる
という感じ。
身体を構成している要素にはいろいろなものがありますが、リコンプでは特に
体脂肪を減らしつつ、筋肉量を増やす
ということを目的としています。
増量期(摂取カロリー>消費カロリーにして筋肉を大きくする期間)
↓
減量期(摂取カロリー<消費カロリーにして体脂肪を落とす期間)
という期間をつくるのではなく、
摂取カロリーを抑えつつも高たんぱく食を心がけ、体脂肪の減少と筋肉の増加を同時に目指すのがリコンプなわけです。

リコンプのやり方
一般的には筋肉を付けつつ脂肪を減らすことは非常に難しいと言われていまが、リコンプではこの難題をどのように達成するのか、見ていきましょう。
リコンプの実践方法は大きく分けて3ステップ
メンテナンスカロリーの決定
↓
摂取カロリーの決定
↓
マクロ栄養素の決定
といった感じ。
これらを決めてしまえば、あとは実践あるのみです。
メンテナンスカロリーの決定
メンテナンスカロリーというのは
体重が増えもしないし減りもしない摂取カロリー
のこと。
摂取カロリー=消費カロリー
の状態がこれに当たります。
身長、体重、年齢、生活強度やトレーニング頻度によって人それぞれ違うメンテナンスカロリーですが、難しい計算をして求める必要はありません。
こちらのサイトで必要事項を入力すれば勝手に計算してくれるので、ぜひ使ってみてください。
摂取カロリーの決定
メンテナンスカロリーを決定したら、今度は
どれくらいのカロリーを摂るか
を決めていきます。
増量期を設ける場合、筋肉を大きくするためには
メンテナンスカロリーよりも多いカロリーを食べる
というのが基本ですが、リコンプで忘れてはいけないのが、
体脂肪は落としたい
ということ。
リコンプの際には、摂取カロリーをメンテナンスカロリーよりも少しだけ少なくすることで、体脂肪の減少を狙っていきます。
摂取カロリー=メンテナンスカロリーー500kcal
くらいが目安です。
マクロ栄養素の決定
マクロ栄養素とは、タンパク質・脂質・炭水化物をそれぞれどれくらい食べるかのこと。
さきほど決めておいた摂取カロリーをもとに、実際の食事でどんなものをどれくらい食べていくかを決めていきます。
だいたいの基準としては
タンパク質 | 最低でも体重1kgあたり1.5~2g、できれば体重1kgあたり2.5g |
脂質 | 40~70g程度。摂りすぎないように意識する |
炭水化物 | のこりのカロリー分 |
といった感じ

リコンプの食事内容の例
文字だけで説明してもいまいちイメージをつかみにくいと思うので、例をあげて説明していきます。
僕がリコンプを行う場合、
- 男性
- 21歳
- 身長171cm
- 体重72kg
- 週に5回程度筋トレ
という基本情報を先ほど紹介したサイトに打ち込むと、メンテナンスカロリーは3054kcalとなります。
ここから500kcal減らすと、毎日の摂取カロリーは2554kcalとなります。
ここにタンパク質、脂質、炭水化物を当てはめていきます。
タンパク質 | 1gあたり4kcal |
脂質 | 1gあたり9kcal |
炭水化物 | 1gあたり4kcal |
なので、
タンパク質 | 体重×2.5g=180g(720kcal) |
脂質 | 50g(450kcal) |
炭水化物 | 残りのカロリー(2554-720-450=1384kcal)→346g |
という感じです。

リコンプのメリット
具体的なやり方が分かったところで、リコンプを行うと何がいいのか、そのメリットについて見ていきましょう。
筋肥大と脂肪減少を同時に行える
なんといってもリコンプの特徴は、筋肥大と脂肪減少、2つの目的を同時に達成できるということでしょう。
筋肉量を増やしつつもかっこいいシルエットを維持できるわけです。
また、いざ本格的に減量するとなったとき、脂肪が少ないとそれだけ楽になります。
大幅な体重増加がない
リコンプでは筋肉量は増える一方、脂肪はへっていくので、体重には大きな変化がありません。
明確に増量期をつくると、体重が増えすぎて罪悪感を感じることもありますが、うまくリコンプができればそんな心配もありません。
精神的な負担が小さいわけですね。
食生活が整う
増量期、減量期を分けるバルクアップ方法では、
- 増量期の食事メニュー
- 減量期の食事メニュー
を分けて作る必要があります。
これが意外とめんどくさいさけでなく、食べるものがコロコロ変わると食生活の乱れにつながるかも。
リコンプでは、基本的に長期間に多様な食事を繰り返すことになるので、食生活は安定しやすく、長期的に見ると生活リズムにもいい影響を与えてくれるでしょう。

リコンプのデメリット
体脂肪を減らしつつバルクアップできる魔法のようなメソッドのリコンプですが、いいことばかりというわけでもありません。
デメリット、というよりは
リコンプを達成するうえで困難になってくるポイント
のようなものもあるので、そちらも紹介しておきます。
時間がかかる
リコンプの最大の難点は、効果を実感するまでにかなりの時間がかかってしまうということ。
というのも、ボディメイクの基本は
筋肉をつける→摂取カロリー>消費カロリー
脂肪を落とす→摂取カロリー<消費カロリー
この基本原則に逆らって
- バルクアップ
- ダイエット
の2つを両立させるためには、どうしても
少しずつ筋肉を減らし、少しずつ脂肪を落とす
ことになります。
数カ月ではほとんど効果を実感できず、最低でも半年~数年単位でかかってしまうのはリコンプの最大の難点です。
モチベーションが維持しにくい
身体の変化はすぐには目に見えるほどにはなりません。
先ほども触れたように、リコンプを成功させるにはかなりの長い時間がかかります。
長期間モチベーションを維持するのは実は至難の業です。
また、リコンプはうまく進んでいても、体脂肪はへっているが筋肉は増えているため、体重に大きな変化がありません。
むしろ脂肪よりも筋肉の方が重たいので、
ダイエット目的でリコンプしているのに体重が増えてしまう
なんてことも。
これはリコンプが成功している証でもあるのですが、
体重という数値で成果を実感しにくい
というのは、モチベーションの低下にもつながってしまいます。

リコンプのポイント
リコンプのメリット・デメリットについて見てきたところで、リコンプを成功させるためにはどんなことに注意すればいいのか、チェックしていきましょう。
トレーニングはしっかり行う
ボディメイクの基本は、食事・運動・休養。
いくら食事に気を使っていても、十分なトレーニングができていなければ筋肥大を引き起こすスイッチが入らず、なかなか効果は出てきません。
筋肉を付けつつ体脂肪を落とすには、最低でも
週に4回、1回30分以上
の筋トレを欠かさないようにしましょう。
体重を気にしない
ダイエット=体重を減らすというイメージを持っている方も多いとは思いますが、実はこの考え方が危険。
リコンプに限らずボディメイクの根本は
理想の身体にをつくる
ということ。
体重のような数値よりも、
少し前と比べて、鏡に映る自分がどう見えるか
のほうがはるかに大切です。
デメリットのところでも見てきましたが、リコンプは体重の変化が見えにくいボディメイク法です。
体重計の数値に一喜一憂するのではなく、
自分の目的は何なのか、ボディメイクの本質から外れていないか
を大切にしましょう。
摂取カロリーを調節する
リコンプ中の食事は、基本的には『リコンプのやり方』で紹介してきた方法でOKです。
が、生活やトレーニングに合わせて少しずつ食事内容を変えていくことができると、より効果を実感しやすくなります。
- 脚のようにエネルギーの消費の大きい部位をトレーニングするときは少しカロリーを増やす
- 筋トレをオフにして有酸素運動だけする日は少しカロリーを下げる
- トレーニングをオフにする日はカロリーを抑える
というように変化を付けるといいでしょう。
継続する
ボディメイクは一朝一夕でなるようなものではなく、継続することが本質といっても過言ではありません。
特にリコンプは長い目で見る必要があり、長期間続けることは成功に必要不可欠。
最適な食事管理とハードなトレーニング、十分な休養を意識していても、効果が目に見えてくるまでに8週間を要する
と結論づけている論文もあります。
リコンプで効果を実感するまでには最短でも数カ月はかかりそうです。
半年~数年くらいの長い目で見る必要がありそうです。

リコンプはどんな人におすすめ?
リコンプは、理想の身体を目指す人の中でも、特に
- 体重の増加をなるべく抑えたい人
- 筋肉を付けつつ脂肪を落としたい人
- 長期戦に耐えるメンタルのある人
におすすめの方法。
特に、トレーニングを始めて間もなく伸びしろが大きい初心者の方は、比較的時間のかかるリコンプでも効果を実感しやすいかと思います。
一方、すでに体脂肪率が低く筋肉量の多いトレーニング上級者の方は、リコンプで目に見えた成果を得るまでには長い時間がかかってしまいます。
とはいえ、長期戦に耐え、体重計の数字に左右されないメンタルさえあれば、リコンプのデメリットはほとんどありません。
リコンプは、基本的にはすべてのトレーニーにおすすめできる方法と言えるでしょう。

まとめ
脂肪を減らしつつ筋肉を増やし、身体を構成要素からつくりかえる方法、リコンプについて紹介してきました。
難しい方法であることは間違いありませんが、しっかりとした食事管理とトレーニングを行えば決して不可能ではありません。
うまくいけばかなりのメリットがあるリコンプ、ぜひとも試してみてください!
