筋トレにおけるビッグ3の一角を担う超有名な種目、デッドリフト。
ハムストリングや大殿筋、脊柱起立筋、僧帽筋など、身体の後面のほぼすべての筋肉を動員するデッドリフトは、背中のトレーニングとして愛用している人も多いでしょう。
確かにデッドリフトは高重量を扱えて効率のいいトレーニングですが、ネットやYOuTubeを見ていると
デッドリフトは必要ない
という意見もよく見かけます。
ということで本記事では
背中のトレーニングにデッドリフトは必要なのか、それとも不要なのか?
というトピックについて、僕なりの意見を紹介していきます!
※ここでのデッドリフトとは、床からバーベルを引き上げる床引きデッドリフトのこととします。

結論:背中トレにデッドリフトは必須ではない!
まず結論から言ってしまうと、
背中のトレーニングに床引きデッドリフトは必須ではない
というのが僕の意見。
もちろん、デッドリフトが超優秀なトレーニングであることは認めていますし、パワーリフターやスポーツの補強としてトレーニングしている人ならデッドリフトにも積極的に挑戦すべきだと思います。
が、
- 筋肉量を増やしてボディメイクしたい
- 脂肪を落としてダイエットしたい
- 健康的な身体になりたい
という目的のトレーニーにとっては、デッドリフトは意外とデメリットも多いんです。
実際、ジムにいってマッチョな人のトレーニングを観察してみても、床引きのデッドリフトをしている人はあまり見かけません。
そんなわけで、背中を鍛えていくうえではデッドリフトに固執する必要はないと思っています。

背中トレにデッドリフトが不要な理由
では、背中のトレーニングとしてデッドリフトが必須ではない理由について紹介していきます!
先にすべて挙げてしまうと
- ケガのリスクが大きい
- スクワットとかぶる筋肉がある
- 他の背中トレ種目が豊富
- きつい
という4点です。
では、ひとつづつ解説していきます!
ケガのリスクが大きい
デッドリフトは、他の種目はおろかビッグ3の中でも最高レベルの重量を扱える超高強度なトレーニング。
それに加えて、意外とフォームが難しくて正確に筋肉に負荷を与えることが難しい。
そのため、腱や関節への負荷が大きくなってしまい、必然的にケガのリスクも跳ね上がります。
特に腰をケガしてしまう危険は大きく、よっぽどフォームと重量に気を配っていないとすぐにケガしてしまいます。
逆にフォームさえ習得してしまえば安全かつ高重量で効率的に鍛えられるのですが、いかんせん失敗した時のケガのリスクが大きい。
いわばデッドリフトはハイリスクハイリターンな種目なわけです。
腰のケガはトレーニングだけでなく日常生活も不便になりますし、筋トレに人生を捧げているわけでもない普通のトレーニーにとって、ハイリスクを顧みずにデッドリフトに挑戦するのはあまり得策ではなさそうです。
スクワットとかぶる筋肉がある
床引きのデッドリフトの場合、メインのターゲットは
ハムストリング・大殿筋・脊柱起立筋・僧帽筋・腹直筋
など。
一方、脚のトレーニングとしてメインになりがちなスクワットのメインターゲットは
大腿四頭筋・ハムストリング・大殿筋・脊柱起立筋・腹直筋
こうしてみると、かなり多くの筋肉がかぶっていることが一目両全です。
脚の日にスクワットを行い、さらに背中のトレーニングの日にデッドリフトを行ってしまうと、明らかにオーバーワーク。
ハムストリングや大殿筋の回復が間に合わず、筋肉の成長が停滞してしまったり、トレーニングの質が落ちてしまったりなど基本的にいいことはありません。
となってくるとスクワットとデッドリフトのうち、どちらか一方のみを行うのが現実的な戦略です。
脚のトレーニングとしてスクワットの代わりになるような種目はほとんどありません。
一方床引きデッドリフトは、背中トレにマストかというとそうでもない。
身体全体のバランスや優先順位を考えると、デッドリフトをあきらめてスクワットをとった方がいいわけですね。
![ハーフデッドリフトで背中を集中強化。デッドリフトとの比較も。 - TOREMY[トレミー]](https://image.toremy.jp/uploads/image/1c5bdbd7-238c-406f-9546-08396a0ad248.png)
他の背中トレ種目が豊富
- 筋肥大
- ボディメイク
- ダイエット
- 健康
などの観点で考えた時、床引きデッドリフト以外にも優秀な背中のトレーニングはけっこうあります。
例えば、以下のような感じ。
広背筋 | 懸垂・ラットプルダウン・ワンハンドロウ |
大円筋 | 懸垂(ワイドグリップ)・ラットプルダウン |
僧帽筋(中・下部) | ベントオーバーロウ・ハーフデッドリフト・トップサイドデッドリフト |
脊柱起立筋 | ハーフデッドリフト・トップサイドデッドリフト |
とまあこんな風に、あえて床引きデッドリフトにこだわらなくても、安全で筋肥大に適した種目はたくさんあるわけです。
きつい
メンタル的な面も床引きデッドリフトのデメリットのひとつ。
多くの筋肉が動員されるため高重量を扱えるデッドリフトは、シンプルにめっちゃきついです。
必要な酸素の量も増えるため心肺機能への負担も大きく、本気でデッドリフトを行った後は
- 吐き気がする
- めまいがする
- 意識が飛ぶ
なんてことはよくあります。
本気で筋トレに人生を捧げているような人を除いて、ほとんどのトレーニーにとってこのきつさは高すぎる壁になってきます。
- ちょっと運動したい
- 楽しくトレーニングしたい
という人にとっては、デッドリフトはただの苦行になってしまいますね。

とはいえデッドリフトは超優秀なトレーニング
とまあこんな風に、背中のトレーニングに床引きデッドリフトは必須ではありません。
かといって、デッドリフト自体がトレーニングとして劣っているのかというと、全くそうではありません。
むしろ、デッドリフトは古くから多くのボディビルダーやパワーリフター、トレーニーたちに愛されてきた種目。
筋肥大やボディメイク、ダイエット、健康などの目的においては無理して行う必要はありませんが、それでもデッドリフトには多くのメリットが潜んでいるもの事実。
全トレーニング中でもトップレベルに良い種目と言っても過言ではありません。
ということで、そんな床引きデッドリフトのメリットについても確認しておきましょう。
先にすべて挙げてしまうと
- 効率がいい
- 高重量を扱える
- 応用が利く
という感じ。
ひとつづつ解説していきます。
効率がいい
床引きデッドリフトはコンパウンド種目(多関節種目)で、多くの関節と筋肉が一気に動員されます。
このせいで、死ぬほどきついというデメリットが生まれることも。
が、これは逆に考えると
1種目でたくさんの筋肉を鍛えることができて効率がいい
というメリットにもつながります。
床引きデッドリフトで鍛えられる筋肉をほかのトレーニングで補おうとすると
ハムストリング | レッグカール |
大殿筋 | ヒップスラスト |
内転筋 | インナーサイ |
腓腹筋・ヒラメ筋(ふくらはぎ) | カーフレイズ |
腹直筋 | クランチ |
脊柱起立筋 | バックエクステンション |
僧帽筋 | シュラッグ |
など、かなりの種目が必要。
種目もセット数も莫大になってしまいますし、トレーニング時間が長くなって効率が悪くなってしまいます。
少ない時間と種目で多くの筋肉を効率よく鍛えられる
というのはデッドリフトの最大のメリットと言えるでしょう。

高重量を扱える
やっぱり筋トレにおいて、重たいものを持ち上げるというのは大きな醍醐味のひとつ。
高重量のトレーニングに挑戦した後の達成感や爽快感は、何物にも変えがたいです。
以前までは持ち上げられなかったような重量が挙がるとめちゃめちゃうれしいですし、数値的に成長を実感することができるのでモチベーションにもつながります。
また、高重量を扱うことによる大きな物理的ストレスは、筋力向上・筋肥大においても重要なファクターのひとつ。
全トレーニングの中でも最高レベルの重量を扱えるデッドリフトは
- 楽しさ
- 筋力向上
- 筋肥大
などの観点から見ても優秀なトレーニングなわけです。
応用が利く
デッリフトをはじめとしたビッグ3は、いわばトレーニングの基本中の基本。
スクワット・ベンチプレス・デッドリフトの3種目の動作の中には、その他の多くのトレーニングでも活かせる動作のコツがぎっしり詰まっています。
特にデッドリフトの動作を見ていくと、腰や膝を連動して強い力を発揮する動きは下半身のトレーニングにも活かせますし、腹圧のかけ方や体感のバランスは他のコンパウンド種目の上達にもつながります。
要するに、
デッドリフトで培った技術がほかのトレーニングの質の向上につながる
ということです。
デッドリフトが必須かは置いておいて、デッドリフトで基礎固めすることはトレーニングの目的に関わらず全トレーニーにとって意味のあることと言えるでしょう。
![デッドリフトの正しいやり方。腰を痛めない正しいフォームを徹底解説 | VOKKA [ヴォッカ]](http://musclemediaonline.com/wp-content/uploads/2017/07/deadlift-min-696x464.jpg)
まとめ
背中のトレーニングに床引きデッドリフトは必須なのか?
というトピックについてお話してきました。
背中トレにデッドリフトは必須ではない、というのが僕の考え。
とはいえデッドリフトにはメリットも大きく、練習して無駄になることはないでしょう。
背中トレにとってデッドリフトの優先順位は低めかもしれませんが、必要に応じてうまく使いこなしていくことが大切です。
以上、『【デッドリフト不要論】背中トレにデッドリフトは必要なのか?』でした!
